Jリーガーから29歳で転身。北井佑季選手インタビュー「遅すぎるということはない」
2024年6月の『高松宮記念杯競輪』にて、G1初優勝を飾った北井佑季選手。
松本山雅FC、カターレ富山などのクラブで活躍した元Jリーガーであり、30歳目前のタイミングで競輪に「転身」した選手であることでも知られています。
どのようにセカンドキャリアを考えたのか。
受験にあたってどんな対策をしたのか。
競輪選手として必要なこととは。
気になるポイントをたっぷりと伺いました。
これから競輪選手を目指す方にとって、貴重なお話が満載です。ぜひご覧ください。
29歳でサッカー選手を引退
Q:プロサッカー選手になった年齢や引退年齢、プロ競輪選手になった年齢などをそれぞれ確認させてください。
20歳の時にプロサッカー選手になって、29歳、2019年の3月に引退。引退してすぐに弟子入りし、半年で試験を受けました。翌年の2020年5月、30歳の時に日本競輪選手養成所に入所。そこから約1年の訓練を経て、31歳でプロ競輪選手デビューしています。
Q:弟子入りの前から何かしらの準備やアクションはあったんでしょうか?
いえ、具体的なことはまったく決まっていませんでした。ただ平塚所属の小菅誠(90期)さんの妹さんと僕が幼馴染だったので、小菅さんに「競輪選手とはどんな職業なのか」ということを聞いてはいましたね。2017年くらいから「引退したら競輪選手になりたいな」と考えてはいて、定期的に会って話をしていました。いざ本当に引退するとなった時には、小菅さんづてで今の師匠の高木隆弘さん(神奈川/64期)を紹介してもらいました。
競輪選手を目指した大きなきっかけ
Q:競輪自体は早いタイミングから知ってはいたんですね。それを見るとか、体験するといった機会はどこかであったんでしょうか?
1回だけありました。引退する2年前、2017年ごろに富山のチームに所属していたんですが、自宅が富山競輪場の真横だったんです。本当にジャン(残り1周半の打鐘)の音が聞こえるくらいの隣だったんですが、所属していた3年間の最後の年にやっと「ちょっと見てみようかな」と見に行きました。当時はルールも知らないし、どういう人が出ていて、どんなグレードのレースなのかも知らないくらい。後から日付から遡って見てみたら記念(各競輪場の開設を記念するG3開催)の決勝の日でしたね。
でも、それが大きなきっかけでした。競輪選手になろうと決めたのはその2年後でしたが、このレースを見て「引退したらこれをやりたい」と思いました。とはいえまだサッカーはやりたかったし、サッカーでクビになって(契約更新がなくなって)行くところがなくなったらこれをやろう、と漠然と思いました。
Q:サッカーは29歳で引退していますが、これはサッカー選手としては普通くらいのタイミングなのでしょうか?
長いほうです。今サッカー選手の平均年齢は25、6歳と言われています。もちろん30歳を超えても活躍している選手はいますが、平均が20代半ばと考えると、9年間の選手生活は長かったと思います。サッカーはやり切って、悔いはありません。
サッカー選手にも様々なレベルがありますが、下の人ほど、実は選手人生が長い。年俸を下げれば粘って続けることができるためです。J3だと月20万円もらえない、という人も珍しくありません。選手の片手間にチームのスポンサー企業で会社員として働いて、給料をもらうということもやっています。
レベルの高い人、年俸の高い人ほど引退が早い傾向があります。次の仕事が見つけやすいということもありますね。