Jリーガーから29歳で転身。北井佑季選手インタビュー「遅すぎるということはない」
セカンドキャリアの考え方
Q:サッカー選手のセカンドキャリアは、一般的にはどのようなものがありますか?
多くの人はサッカーに携わる仕事をしていきます。サッカー選手は現役の間に指導者のライセンスが取れるので、ほとんどの選手は現役のうちにライセンスを取得して、コーチ業に就いていきますね。最初は小学生のコーチからスタートして、ゆくゆくはJリーグの監督を目指すような形。どこかしらに教える場はあるので、あぶれるということはほぼありません。下積みから、コーチとしての一流を目指していきます。
解説業などに就くのは、本当にトップの一握りの人。また数少ない一般企業に行く人の中では、営業職が多い印象です。サッカー選手って出来高の部分が多いので、頑張った分だけ上乗せしてもらえる職業がしっくりくるようですね。
Q:北井選手は、指導者などにはなろうと思わなかった?
思わなかったです。ライセンスも取りませんでした。
競輪選手という道が見える前は、セカンドキャリアとして消防士を考えていました。でも消防士は年齢制限があり、そのボーダーとなる26歳の頃、自分はサッカー選手としてとても良い時期でした。それで「消防士にはなれないな」と。
その次に考えていたのは警察官。実を言うと、引退してパッと競輪選手に行ったというよりは競輪選手と警察官との間で迷っていた感じでした。警察の勉強もしていたくらいです。
自分は「プレイヤー」でいたかった
Q:最終的に競輪を選んだ理由とは?
サッカー選手時代、試合を娯楽として観戦することってありませんでした。見るとしても研究するためで、自分は「プレイヤー」「やる側」でいたかったんです。競輪は公営競技ではありますが、大きく括るとスポーツです。「自分の体を使って稼げる」という部分が魅力的でした。
競輪って持久力が必要そうでそこまで必要ではない……サッカーに比べたら瞬発系の動きの方が多いです。サッカーは「長い時間走る」という持久力が必要で、そういうものは年齢を重ねるにつれ衰えやすい。一方、瞬発系の動きはある程度年齢がいっていても鍛えれば上がる部分がある。実際にそういう論文も出てるんです。
アスリートが引退して、もう1回トップアスリートを目指せる。それって実際、競輪くらいしかないんじゃないかと思います。