Jリーガーから29歳で転身。北井佑季選手インタビュー「遅すぎるということはない」
「適性」ではなく「技能」で受験。その理由とは?
Q:北井選手は実際に自転車の走行タイムを測定する「技能試験」で合格されています。身体能力で評価される「適性試験」が自転車未経験者向けと言われますが、適性試験での受験は考えなかったのでしょうか?
考えました。でも適性はそもそも合格者の枠が少ないですし、サッカーをやっていた頃は今より20kgくらい細かったんです。体重、パワーが必要な試験方法なので、ウェイトリフティングなどで鍛えてきた体格の良い人が合格しやすい。師匠と相談した結果、技能で受けた方が可能性があるのではないかという話になり、半年間みっちりトレーニングしました。
受験準備の半年間は、試験の種目である200mと1000mをひたすらやりました。あとは自転車に長く乗ること、自転車に慣れるということもずっとやっていましたね。「この時期にこれをやる」と期間が区切られたというよりは、ずっとひたすらやっていた形です。
Q:養成所の受験準備で、苦労したこと、意外にすんなりいけたことはなんですか?
やっぱり初心者ですし、200m、1000mの実技には苦労しました。逆に面接や筆記のテストはスルッといけたように思います。サッカー選手はインタビューの受け答えも経験がありますし、テストは一般教養を問われるものだったので。
若手との養成所生活。「窪木選手は15歳くらいでした(笑)」
Q:若手に囲まれた養成所生活はどのような日々でしたか?
高卒で入った子とちょうどひとまわり違う、干支が同じ……という環境でした。自転車競技をやってきた人がほとんどの中で、自分は初心者ですから、年齢に関係なくみんなに教えてもらっていました。基本的に若い子中心の生活なので、自分が合わせてもらうというより、自分が合わせていく感じ。若い時の自分を楽しむような日々でしたね。楽しかったです。
Q:同期には同級生の年齢である窪木一茂選手もいました。
高卒で入った子が19歳、大卒で入った子が23歳とかですが……窪木さんは15歳くらいでしたね(笑)逆に下回るって手もあるんだ、と思いました。でも、同年代の仲間がいることは心強かったです。窪木さんは若い子の輪に入っていく時は15歳になりますが、僕と話す時はお互い本来の年齢で話す感じ。「同年代だからこそ」の話をする相手でした。
例年、養成所には20代後半以上の人が2人くらい入所しています。僕たちだけが特に年齢が高かったというわけでない。それは競輪ならではですし、同じような状況の人も心強いと思います。
Q:養成所のカリキュラムは、他の競技から転向した選手にとっても満足いくものでしたか?
知りたいことや習得したいことをまんべんなく得られました。A教場、T教場と教場がいくつかに分かれており、僕はT教場で滝澤正光先生に競輪のことをしっかり教えていただき、満足いく学びの日々でした。