デビュー3年でのG1制覇も、「やっと獲れた」

Q:その努力の結果、デビュー3年でG1制覇。ご自身としては「早く獲れた」のか「やっと」なのか、どう感じますか?

「やっと獲れた」と思います。両方の思いがありますが、前にも獲れるチャンスがあってそれを逃しているので。

Q:サッカーの仲間から連絡は来ましたか?

レースが民放で中継されたこともあり、たくさん連絡をもらいました。まだ現役の選手もいれば、指導者などでサッカーに関わり続ける人もいる。こういう道があるということを示せたと思います。

実は、僕から見て「競輪選手に向いてる」と思うサッカーの仲間に「どう?」と声をかけたこともあるんです。

サッカーで活躍している選手は、アスリートですから、負けん気の強さはみんな持ってる。その中でも自分を律せる人が競輪選手に向いていると思います。大変な状況でも逃げない人。同じチームでプレーしていたらわかるものですが、そういう人は競輪でも活躍できるんじゃないかなと思います。

でも、声をかけて実際にやるまでに至った人はいません。
今はサッカーのチームが増えているので、20代前半の選手はクビになったとしても収入を落とせばサッカーを続けられます。そして20代半ばはサッカー選手として一番良い時期ですので競輪に行くことを選択できない。20代後半になると引退を考える人も増えますが、サッカー選手は結婚が早い人が多いですから、2年間の無収入が大きな壁になってしまいます。

Q:収入の面は貯蓄しておいてくださいとしか言えませんよね。

そうですね。「アルバイトをしながら」ということもできるとは思いますが、もしも自分がそれをしていたとして、半年で試験に受かるということはなかったと思います。ただ平塚競輪場では競輪選手になりたい人向けに自転車を貸し出すなど、初期費用が少なくなるような取り組みをしている競輪場もあります*。

※競輪場ごとにさまざまな取り組みがありますので、お近くの競輪場にご相談ください

遅すぎる、早すぎるということはない

Q:G1制覇で努力がひとつ報われました。次に目指すところはなんですか?

初めてのKEIRINグランプリ出場で結果を残したい。そしてG1をひとつ獲れましたが、それを2つ3つと増やしていくことが新たな目標です。

Q:最後に、これまでの人生を振り返って「あの時こうすればよかった」と思うことはありますか?

ないです!
思い返しても「やり切った」と間違いなく言うことができます。だから悔いなくサッカーを引退できました。周りから「もっと早いタイミングで競輪選手になっていたら」と言われることも多いですが、サッカーでやり切ってから競輪に転向したからこそ、今の自分がある。「全てがうまくいっている」とは思いませんが「なるべくしてこうなった」「どの選択にも間違いはなかった」と言えます。

これから競輪選手になりたい人も、今が遅いとか、早すぎるということはきっとありません。決めたタイミングが「ベストなタイミング」なのだとお伝えしたいです。