競輪選手に興味を持っていても、不安で最初の一歩をなかなか踏み出せない方や、何をしたらいいのかわからないという方へ向け、全国の競輪場ではさまざまな取り組みが行われています。

本記事では、愛知県・豊橋競輪場で行われている「T-GUP(豊橋グランプリレーサー育成プロジェクト)」をご紹介します。

T-GUP(豊橋グランプリレーサー育成プロジェクト)とは

2026,T-GUP,豊橋競輪場

2013年に女子選手の育成を目的に発足した「豊橋ガールズケイリン育成プロジェクト」を前身とする取り組み。コロナ禍での休止を経て、2024年から、男女を問わない「豊橋グランプリレーサー育成プロジェクト」へとリニューアルしました。

毎年3月に面接や筆記試験も含め、さまざまな選考を経てメンバーを決定します(現在は6人が所属)。

2026,T-GUP,豊橋競輪場

競輪選手になるために、まずは養成所の合格を目指して、そしてデビュー後も見据えて、毎日異なる練習メニューを組み立て、実施しています。

2026,T-GUP,豊橋競輪場

自転車の乗り方や体力づくりのほか、筆記試験や面接の対策も行っています。

参加費は無料。競輪用のピストバイクを持っていない人には貸与を行い、
家賃補助や遠征にかかる旅費も負担するなど、金銭面でのサポートも充実。

現在は第3期生が練習に励んでおり、1期生からは2人、2期生からは4人が日本競輪選手養成所への入所を果たしました。

最終的には、その名の通り、「KEIRINグランプリ」に出場し、勝つことのできるスター選手を豊橋から生み出すことを目標としています。

「1km day」の練習に潜入

この日の練習は、月に2回のペースで設定されている「1km day」。個人では1kmタイムトライアルを3本、グループでは1kmでの「インかまし(前方の選手がスピードを上げる前に内側から先行を獲る練習)」を2本と、身体への負荷が特に大きいメニューです。

2026,T-GUP,豊橋競輪場

午前9時からスタートし、最初はウォーミングアップで20周回を走行。

2026,T-GUP,豊橋競輪場

その後、直近で行われた記録会の結果をもとに走行順やグループを振り分け、練習開始。

2026,T-GUP,豊橋競輪場
2026,T-GUP,豊橋競輪場

2種目合計で5回の走行を、30分程度の間隔をあけて繰り返していきます。

2026,T-GUP,豊橋競輪場
2026,T-GUP,豊橋競輪場

1本1本に全力で挑む練習生たち。後半になるにつれ、体力も限界に。

2026,T-GUP,豊橋競輪場
2026,T-GUP,豊橋競輪場
2026,T-GUP,豊橋競輪場

豊橋競輪場は、向かい風が強く吹く会場。その環境で勝つためには、トップスピードまで素早く到達することが重要。今回の「1km day」をはじめとして、T-GUPのメニューにはそうした意図が多く含まれているそうです。

2026,T-GUP,豊橋競輪場

全員、無事5本を走り終えました。中には自己ベストを出した練習生も。
それぞれにあたらしい課題を見つけつつ、昼過ぎにこの日の練習は終了しました。

主催者と指導者の思い

2026,T-GUP,豊橋競輪場

練習生たちの指導に当たっているのは、地元の現役選手である、白井一機選手(写真中/愛知・65期)、鈴木伸之選手(写真右/愛知・87期)、當銘沙恵美選手(写真左/愛知・118期)の3人。
T-GUPが現在の形になるにあたり、当時、選手会の役員だった鈴木選手が白井選手に協力を要請したのが、この体制になるきっかけ。両選手ともコーチングについて学び、このプロジェクトに備えたそうです。

また、當銘選手はガールズケイリン時代のT-GUPの卒業生として、後輩たちを指導しに来ています。

基本的には白井選手が中心となり、3人それぞれのレースが被らないようにスケジュールを調整。毎日、必ず誰か1人は練習を見られるような体制を作っています。

2026,T-GUP,豊橋競輪場

白井選手のコメント
「T-GUPでは、ただ養成所の試験に合格するというだけではなく、デビューしてからも『自分で自分を成長させていける選手になる』ことを念頭に置いてメニューを組んでいます。だから、日によって異なるメニューを細かく組み立てて、トップスピードや持久力など、自分に足りない要素を把握できるような構成にしています。せっかく選手になるなら、グランプリレーサーを目指してほしい。そのために必要な練習環境は全て整えています。気軽に参加できる『豊橋サイクリストクラブ(月2回のバンク走行体験)』もありますし、興味のある方にはまず来ていただきたいです」

2026,T-GUP,豊橋競輪場

T-GUPを中心になって運営する2人、日本トーター(株)豊橋競輪事業所 事業所長代理の橋本智哉氏(写真右)と、豊橋市産業部競輪事務所の鈴木紀公氏(写真左)にも、プロジェクトについてお話を伺いました。

橋本智哉氏のコメント
「実技だけでなく、面接や筆記なども含めて、養成所の試験を体験できるのはT-GUPの強み。そうした企画や練習内容は施行者様や選手の皆様が中心となって考えていて、私たちはその周辺の実務的なサポートをしています。また当プロジェクトを経てデビューした選手は、最初は豊橋競輪場をホームバンクにしていただくことになっています。今、順調に合格者が増えていますし、T-GUPを通して豊橋の選手の層が厚くなることを望んでいます。」

鈴木紀公氏のコメント
「T-GUPに関わり始めて2年。面接や会議の調整、スケジュールの管理など、プロジェクトをうまく進めるための業務を担当しています。また、広報としてイベント出演や大学生向けの企業展への出展なども行っています。競輪選手になるための手厚いサポートが魅力のT-GUPのことを、もっと広く知ってもらいたいですね」

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