夏の終わりの熱い闘い!『耐久訓練兼ロードレース大会』レポート
2024年9月26日に、127・128回生の『耐久訓練兼ロードレース大会』が実施されました。
『耐久訓練兼ロードレース大会』とは、「長距離自転車走行技能の養成」を目的に年に1度行われる訓練。
感染症拡大や雨天による中止が重なり、今年は113・114回生の時以来じつに7年ぶりの開催となりました。
舞台はCSC 5kmサーキットコース
舞台となるのは、日本サイクルスポーツセンター 5kmサーキットコース。
男子・10周=50km/女子・8周=40kmを走ります。
男子は8グループ、女子は3グループに分かれてのチーム対抗戦となり、最終順位および走行周回数に従い付与される個人点の平均得点トップが優勝。
個人3位までと、優勝グループには賞品が授与されます。
“未知の世界”に挑む候補生たち
天候には恵まれたものの、まだまだ夏の終わりの暑さが残るなか、スタート地点に続々と集まる候補生たち。
ほとんどの候補生にとっては、ロードレースは未知の世界。
ワクワクしながらも、緊張感も感じさせる表情を見せていました。
男子、女子に分かれ一斉にスタートすると、高低差約100m、斜度-10~12%という本格コースを相手に奮闘していきますが、激しいアップダウンによってどんどんと消耗していく候補生たち。
コース幅の広いエリアで観戦していても、候補生たちの息遣いが聴こえてくるほどです。
記録会の“リベンジ”
終盤まで激しい争いが繰り広げられる中、女子は岩元杏奈候補生が優勝。わずかに遅れて北津留千羽候補生、成海綾香候補生がそれぞれ2・3位でフィニッシュ。
男子は終盤にアタックを仕掛けた安達光伸候補生が一気に振り切って1位でゴール。
2位に生野優翔候補生、3位は馬越裕之候補生となりました。
個人で1位を獲得したのは、先日の第2回記録会でわずかにゴールデンキャップに届かなかった(安達候補生は400mで0.04秒、岩元候補生は200mで0.11秒基準に届かず)2人。
悔しさを力に変え、見事に優勝を飾りました。
チーム成績も問われるルールのため、そのほかの候補生たちも最後の最後まで力を振り絞りペダルを回し続けます。
全員完走とはなりませんでしたが、長い闘いを終えた候補生たちの晴れやかな表情が印象的でした。
養成所生活も折り返し地点
レースを終えての表彰式では、個人上位のほか、総合での上位チームを表彰。
男子は入所前にロードレース選手としてキャリアを築いてきた中田拓也候補生率いるBグループ、女子は個人で2位に入賞した北津留候補生を擁するBチームがそれぞれ優勝。
個人とチームで上位だった候補生たちには、賞品が贈られました。
表彰式後の講評では、教官より「行動訓練同様、グループとして全力を出し切るという経験が競輪につながっていく」とこの訓練の意義について語られました。
また、4月の養成所入所からまもなく5か月と養成所での生活も折り返し地点を迎えていること、また10月には“後輩”たちの試験がスタートすることに触れ、「養成所に入りたいと試験に挑んだ頃を思い出しながら、気持ちも新たに訓練に臨んでほしい」という言葉が送られ、耐久訓練兼ロードレース大会は無事に終了となりました。
男子個人1位:安達光伸候補生
Q:優勝おめでとうございます。
ありがとうございます。高校や大学でロードレースは走っていましたが、その時には入賞もできず自信はありませんでした。でも、先日の記録会でゴールデンキャップを獲れず悔しい思いをしていたので、気合いを入れていきました。
記録会の3000mでは全体トップの記録を出すことができ、持久力には自信はありましたが、ロードレースはじわじわと苦しくなるような、別の厳しさがありました。
Q:学生時代は中長距離の個人追い抜きをメインにやっていたかと思いますが、大きな違いはどんなところにありましたか?
ロードは参加する人数が多く、それぞれがいろいろな考えのもとで走っている。そこを把握しながら走る必要があるので難しかったです。
駆け引き含め、持久力というよりもメンタルの勝負だと感じました。メンタルにも自信があったので、優勝につながったと思います。
Q:どのような戦略で臨んだのでしょうか?
チームの中ではエースの役割でした。前半に岩辺候補生が逃げる形となるなか、先頭集団では自分のグループ(Gグループ)は僕1人で、このままではまずいと思ってアタックを仕掛けました。
個人で優勝できたことはよかったですが、チームで勝てなかったのが残念です。
Q:養成所生活もまもなく半分が過ぎようとしています。
すごく濃密な時間を過ごすことができていると思います。
競走訓練もはじまり、いまのうちに吸収できるものはすべてして、卒業へと向かっていければと思います。
Q:残りの養成所生活のなかで、楽しみにしているイベントはありますか?
この大会の打ち上げとして、グループのメンバーでお菓子パーティを予定しているので、まずはそれが楽しみです。
男子チーム1位代表:中田拓也候補生
Q:中田候補生はもともとロードの選手として活躍していましたが、久々のロードレースはいかがでしたか?
養成所に入り短距離用の筋肉がついて、当時より15kgくらい体重が増えているので、まったく進んでいかずびっくりしました。体力的にもすごくキツかったですね。
Q:チームのメンバーにはロードのコツを教えた?
チームのメンバーを集めて、“講義”を行っていました(笑)。
特に下りについては、荷重の掛け方など技術が必要になるので、そういった部分を集中的に教えていました。
Q:チームとして、どのような戦略で挑みましたか?
西本健三郎候補生をエースに据えて、どうにか優勝させようと思っていました。誤算だったのは、ほかのチームの個の強さです。
レースの途中で、西本と総合優勝に切り替えようと話をして走り方を変え、あとはみんなの頑張りに賭けました。
みんなの頑張りのおかげで、チームとして優勝することができたのでとても嬉しいです。
Q:ロードでの経験が、競輪で生きる部分はありますか?
先日から競走訓練が始まったのですが、今のところいい成績を収められています。ロードでは、100人単位となるほかの選手の動きを感じながら走る必要があります。流れや相手の考えを読んで走ることが習慣づいているので、競走という場面では活かすことができていると感じています。
女子個人1位:岩元杏奈候補生
Q:優勝おめでとうございます。
前回の記録会で、0.1秒足りずにゴールデンキャップのラインに届かず、とても悔しい思いをしたので、この大会だけは勝たないとなと思って頑張りました。
先頭集団につく形でレースを進めていましたが、半分過ぎたくらいで集団を絞るような動きを取ろうと考えていました。登りでしっかりと自分の力を出して踏んでいき、うまく自分の思ったような展開に持ち込めたなと思います。
Q:2019年のアジア選手権(ジュニア)でロードレースに出場、銀メダルを獲得しているアドバンテージを活かせた?
自信はありましたが、久々に走るロードレースはとてもキツかったです。1kmサーキットを25周×2セットなど長距離のトレーニングはしていましたが、今回の5kmサーキットコースではそれほど乗っていなかったので大変でした。スタート直後の坂がすごくキツかったのと、ホームストレッチも向かい風でぜんぜん進まず……2kgくらい体重が減ってると思います(笑)。
Q:養成所での生活も、もうすぐ折り返し地点です。
振り返ってみるとまだ5か月か、という感じで、すごく濃い経験ができているなと感じています。特にここ2か月ほどは夏帰省もあり、記録会もあり、ロード大会もあり、とすごく早いですね。
これから競走訓練も本格的にスタートしますので、ダッシュ力を磨きつつ、休日には好きな恋愛映画を観ながら頑張っていきたいです。
女子チーム1位代表:岡田優歩候補生
Q:レースを終えた感想を聞かせてください。
練習では5kmサーキットを6周までしかやったことなかったので、スタート前はすごく不安でした。
入所前も、ピストバイクで街道トレーニングは乗っていましたが、ロードバイクでは長距離を乗ったことがなかったのでどうなるかと思いましたが、練習よりも楽しく走ることができました。
チームのみんなで、優勝を目指して走っていたからだと思います。気持ちの面で、すごくいい感じで走ることができました。
Q:チームとしての戦略は?
自分が追い込んで優勝する、という作戦でした(笑)。
ゴール前の坂がとてもキツかったですが、とにかく出し切って、結果的にチームで優勝できたのでよかったです。
ただ、個人ではあまり順位が良くなかったので、こうやってインタビューを受けているのは申し訳ないです……。
Q:ロードレースならではの難しさを感じた部分を教えてください。
短距離であれば、とにかく踏み続ければタイムを出すことができますが、ロードではそういうわけにもいかず、ペダルを“回す”ことが必要になる。その部分で大きな違いを感じました。
Q:養成所での生活ももうすぐ5か月となりますが、振り返ってみていかがですか?
ものすごく早いです。一週間がすごく早くて、逆にオフの日がすごく長く感じます。
オフの日は売店でアイスを買うのが楽しみで、今は板チョコアイスにハマっています(笑)。
今日の講評で、「もう半分経つのか」とあらためて感じました。これからも、1日1日を大切に訓練に臨んでいきたいです。