なかなか見ることのできない、競輪開催日以外の現役選手の“とある1日”に迫るシリーズ。
第1弾は、第120回生として2021年に日本競輪選手養成所を卒業、2021年までナショナルチームで活躍するとともに、『ガールズグランプリ2023』に出場するなど活躍を続ける吉川美穂選手です。

自宅にトレーニングジムが!

取材させていただいたこの日は、前日に遠征から戻り、次の開催までは約2週間ほどの期間が空くというタイミング。
なんと、トレーニングは自宅に備え付けのジムで行います。

吉川選手「去年(2024年)、ジム付きの家を建てました。ずっと家にジムが欲しいと思っていたのですが、競輪選手になって3年で建てることができました。ホームバンクである和歌山競輪場が改修工事中ということもありますが、基本的には家でトレーニングを行なっています。今日は直前まで開催があったということもあり、少し軽め。ウェイトトレーニングが中心です」

自らでメニューを決める難しさ

朝が苦手という吉川選手。お昼過ぎからトレーニングを開始することが多いそう。軽めとはいうものの、黙々とウェイトトレーニングを進めていきます。
自宅で1人でのトレーニングなので、もちろんメニューは自分で考えたもの。

吉川選手「養成所時代や、ナショナルチーム時代のメニューを思い返して取り入れることもあります。今やってる片脚でやるスクワットも、サトミナ(佐藤水菜選手)がやってるのを見て取り入れました。

フィーリングで量や内容を決めることが多いのですが、練習の結果が出るのが3か月後とも言いますし、なにが最適なのかを決めるのは難しいですね。もう少しトレーニングのバリエーションを増やしたいなとは思っています」

自宅にジムがある最大のメリット

ウェイトトレーニングを一通り済ませると、ローラーに乗ってこの日のメニューは終了。

家にジムがあることのメリットについて尋ねると、こんな答えが帰ってきました。

吉川選手「時間を選ばずにトレーニングをできる、というのは私にとって最大のメリットです。そのおかげで、ウェイトの頻度は増えました。あと、人にトレーニングを見られるのもあまり好きじゃないので(笑)」

ジムだけではない、こだわりのマイホーム

トレーニングを終えた吉川選手。次はどこかに外出?と思いきや、リビングへ直行。

吉川選手を迎えたのは、愛猫(なんと5匹!)。
そのまま、リラックスタイムに突入です。

吉川選手「ロシアンブルーの猫が4匹、それから近所で保護した黒猫が1匹で、全部で5匹います。かわいすぎますよね?」

家を建てるにあたってこだわったのは、トレーニングジムだけでなく、“猫ファースト”であること。

壁にはキャットウォークも設置されており、優雅に猫ちゃんたちが歩き回っています。

おもむろにゲームを……

愛する猫たちを可愛がったあと、おもむろに手にしたのはスマートフォン。
真剣な表情でゲームに興じ始めました。

吉川選手「ゲーム大好きです。競走中はスマートフォンを触ることができないので、ログインボーナスを取れないというのが悩みのひとつですね(笑)。半日は練習に使って、残りはゆっくり。これが普段のルーティンです」

トレーニング、猫とのひと時、そしてゲーム。
開催のない日は、ほとんど外に出ず、家で過ごすことが多いそう。

吉川選手「この後は家で夕食を食べて、夜はまた猫と一緒にゲームすると思います(笑)。家から一歩も出ない、という日も多いですよ。

開催がある時は、3日から一週間くらいは家を離れることになる。そうやって頑張った結果として、家を建てて自分が大好きな空間を作ることができたので、できるだけ家にいたいと思っています。」

責任が伴う、自由な生活

努力の末に手に入れた家で、ゆっくりと過ごす。競輪選手ならではのメリットと言えるかもしれません。

吉川選手「自分の好きなように生活を送れるのは、私にすごく合っていると思いますし、競輪選手という職業の大きなメリットのひとつだと思います。

最近はお菓子作りにもハマっています。競輪選手になる前は、家を建てることも、こんな生活を送れるということも考えもしませんでした。これを維持するためにも、猫たちのためにも、競輪で頑張って結果を残さないといけないですね」

“職住一体”ともいえる環境は、人によっては難しく感じてしまうケースもありますが、「メリハリをつけるのは得意です」と言う吉川選手。

オフシーズンがなく、1年間戦い続けなくてはならない競輪選手にとっては、スイッチを切ってゆったりする時間を作ることが、いちばん大切なのかもしれません。