現場で学ぶ「リアル」 候補生たちの参加実習が実施されました
\日本競輪選手養成所では、候補生たちが実際の競輪場で「確定検査(前日検査)」などを体験する「参加実習」を毎年実施しています。
「確定検査(前日検査)」とは、競輪開催に出場する選手が必ず受ける手続きのひとつ。身体検査や持参品の確認、検車など、公営競技としての公正性・安全性を保つために欠かせない工程です。
この実習は、卒業を控えた候補生たちが“プロとしての責任”と“競輪という競技の仕組み”を実際の現場で学ぶ機会として位置づけられています。
実際の流れに沿って、“競輪選手の一日目”を体感

実習当日、養成所を出発した候補生たちが訪れたのは伊東温泉競輪場。実際の競輪場で開催前日に行われる前日検査の流れを体験していきます。


自転車の組み立てから始まり、参加申告や管理受付、ヘルメットやシューズの確認など、すべてが本番さながらの環境で進行。


いつもと違う雰囲気に、自然と表情が引き締まります。
ネジの締め方ひとつにも
特に印象的だったのは検車。
自転車登録の確認からタイヤの傷、部品の位置など、多岐にわたる項目で厳正に検査が行われます。




検車場に並ぶ候補生の背筋は伸び、真剣なまなざしが並びます。
自分たちがこれから立つ“プロの現場”を前に、言葉を交わすことなく空気の重みを感じ取る様子が印象的でした。
そのなかで、多くの候補生が指摘されていたのが、ハンドルやシートポストといったパーツを取り付けるネジの締め方。


検車を担当していた職員に話を聞くと、「複数のネジで取り付けるパーツで、ネジが均一な閉まり方をしていない候補生が見受けられました。再検車にはなりませんが、部品に偏った圧力がかかってしまうと、劣化も早くなりますし、安全面でも不安が残る可能性があります」とのこと。
ネジの締め方ひとつにも、プロとして生きるための細かな配慮が必要となります。
宿舎見学で知る「プロの生活」

そのほか、開催中の選手たちが実際に過ごす宿舎エリアの見学も行われました。

宿舎は、競輪選手として多くの時間を過ごすことになる場所。未来を想像しながら、興味深そうに設備を見て回ります。

普段の養成所生活とはまた違う“プロの舞台裏”に、期待と少しの緊張が入り混じった表情を見せていました。
バンク練習も実施
実習の最後には、グループごとに競輪場のバンクでの走行練習も実施。

実際の競輪でも、前検日には「指定練習」と呼ばれる練習時間が設けられています。

走り慣れた333バンクでも、養成所のものとは傾斜や直線の長さに違いが。
全国にある競輪場、それぞれのバンクに即座に慣れることも、プロとして生きていくには必要となります。

「走る」だけではない、競輪選手としての自覚を育む時間

参加実習は、年に一度、全候補生が参加する養成所の授業の一環として行われます。
競輪選手としてデビューする前に、競技の裏側にある厳格なルールや手続き、そしてそれを支える多くの人々の存在を理解することが、この実習の大きな目的です。

この体験を通して候補生たちは、単に「走る力」だけでなく、公営競技に携わる者としての自覚や姿勢を改めて学びました。
沢田桂太郎候補生 コメント

養成所の講義でも、競輪開催に向かうにあたって何をするのか学んできましたが、実際に競輪場でその流れを体験できたのはとても貴重な経験でした。どこに何があり、どんな雰囲気の中で検査が行われているのかを知ることができて、きっとデビューした後に「この実習があって良かった」と感じると思います。

また、この参加実習のために多くの方々が準備や運営に携わってくださったことにも、本当に感謝しています。
宿舎も想像していた以上に綺麗で、実際にデビューした自分の姿をより具体的に思い描くことができました。早くその日を迎えたいという気持ちが、さらに強くなりました。
気がつけば、養成所生活も残りわずか。
最後まで気を引き締めて、一日一日を大切に頑張っていきたいです。
プロとしての第一歩へ

候補生たちが体験した確定検査(前日検査)は、デビュー後に日常となる競輪選手としての最初の“関門”でもあります。
この日の学びを胸に、候補生たちはそれぞれの夢へ向かって、さらに一歩を踏み出していきます。