久保田智之, 児玉東次郎, 白濱蓮, 高橋聖太, 近内三孝, 駒壽直人, 篠原輝利, 田崎隼翔, 第1回トーナメント競走, 日本競輪選手養成所(JIK), 第129・130回生

競輪や競輪選手養成所の記録では「逃げ」「まくり」「H」「B」といった用語が使われます。

これらは選手・選手候補生の特徴を知るために使われる指針のひとつ。今回はこれらの用語の意味や、そのデータが示す傾向を解説します。

脚質

競輪はさまざまなスポーツから転向できる競技。だからこそ、候補生たちの脚質……得意な戦い方も様々です。脚質は候補生自身が認識していることもありますが、客観性を保持するため、実際のレースデータからはかることが一般的です。日本競輪選手養成所では主に、競走訓練での2つの戦法を記録し、脚質をはかるデータとしています。

逃げ

榊枝天旺, 第1回トーナメント競走, 日本競輪選手養成所(JIK), 第129・130回生

「先行」とも呼ばれます。レースで先頭を走り、そのまま逃げ切ってフィニッシュを目指す戦法で、長い距離を先頭で走りきるスタミナが求められます。プロの競輪選手のレースにおいては「この戦法をして、2着までに入った時」のみデータとして記録されますが、養成所では何着になったとしても記録として残ります。

まくり

大村涼兼, 篠原輝利, 財満伊織, 松本悠平, 第1回トーナメント競走, 日本競輪選手養成所(JIK), 第129・130回生

レースの終盤に前にいる候補生たちを一気に追い抜き、フィニッシュを目指す戦法です。仕掛け時を見極めるセンスと、ベストタイミングで一気にスピードを上げるダッシュ力が必要です。こちらも、養成所では何着になったとしても記録として残されます。

養成所がデータとして公開するのは上記の2項目ですが、プロの競輪選手になると、決まり手として「差し」「マーク」、脚質としては「追い込み」「自在(両)」なども記載されることがあります(掲載媒体によって表現方法に微差があります)。

H/B

「脚質」に加え、「H/B」の記録を見ることで、その候補生の走り方を浮き彫りにすることができます。「H/B」は「レースが動くタイミングに、どの位置にいたか」を知るヒントとなる情報です。

H

最終ホームを先頭で通過した(=残り1周の時点で先頭を走っていた)ことを示します。

B

最終周回のバック・ストレッチ・ラインを先頭で通過した(=残り半周の時点で先頭を走っていた)ことを示します。

養成所では「H:3回、B:1回」のように競走訓練におけるH/Bの回数を記録しています。

例えば、こんなことがわかります

宮本寛大, 髙佐龍太郎, 沢田桂太郎, 阿部凪汰, 飯田怜治, 高木海安, 西原裕太郎, 𠮷岡竜太, 川村琢磨, 第1回トーナメント競走, 日本競輪選手養成所(JIK), 第129・130回生

これらのデータを元にすれば、例えばこんなことがわかってきます。

「HとBの回数がほぼ同じで、1着数も多い」場合

この候補生は、残り1周から先頭に立ち、そのままバックストレッチでも抜かせないスピードを維持して押し切る力が備わっています。自力選手としての完成度が高く、プロデビュー後も早期の昇班・昇級が期待できるタイプです。

「H回数は少ないが、B回数と『まくり』の回数が多い」場合

自分からレースを動かすよりも、相手の動きを見極めてから仕掛ける競走が得意なタイプです。短い距離で爆発的なスピードを出せるダッシュ力を持っており、混戦を制する能力があります。

「H回数が非常に多いが、B回数が極端に少ない」場合

前へ出る積極性と気概を持っていますが、バックストレッチ付近で他の候補生に捕まってしまうことが多いようです。今後地脚(持久力、スタミナ)を強化し逃げきれるようになったり、混戦になったフィニッシュ直前に瞬発力を出す「末脚(粘り)」がついてくれば、勝利を勝ち取る選手になっていきます。

このように競走訓練のデータから、候補生の傾向、得意な走り方を知ることができます。しかしこれらは「今後の成長や周囲の影響で変わっていくもの」でもあるのが特徴です。養成所での訓練、そして卒業後に挑むたくさんのレースを経て戦法が変わっていくことも、「生身の人間」が走る競輪ならではの魅力と言えるでしょう。

参考:KEIRIN.jp用語集