競輪選手になるためには、日本競輪選手養成所への入所試験に合格しなければいけません。しかし、「どうやって練習すればいいのか」「何から始めればいいのかわからない」という人も少なくありません。そんな不安を抱える人のために、全国の競輪場ではさまざまな取り組みが行われています。

本記事では、神奈川県・平塚競輪場で行われている「愛好会」をご紹介します。

平塚競輪場 愛好会とは

2026, 平塚競輪場, 愛好会,

2024年発足の平塚競輪場愛好会は、30歳までで、自転車競技経験者はもちろん、未経験でも運動神経に自信のある人、自転車やトラック競技に関心がある人、競輪選手に興味がある人なら誰でも参加できます。

月に1回程度開催されており、自転車競技未経験や競輪に興味を持ち始めた人向けの「体験会」、養成所の合格を目指す人向けの「記録会」などを実施しています。

「体験会」は最初の入り口として、競輪選手を目指すと決めた人や、興味を持ち始めた人、自転車は好きだけどバンクを走った経験がない人など、さまざまな人が参加しています。20代の参加者が1番多く、野球やサッカーなど何らかのスポーツを経験している人が大多数で、自転車競技経験者は1割以下です。

取材日には競輪選手を目指したいと考え始めた方に加え、小学6年生の男の子も参加していました。

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参加される人たちのスキルや目的に合わせて、バンクの走行体験や、走り方の指導、タイム計測、競輪に関する情報提供などを行っています。

この体験会を経て、平塚競輪場で競輪選手を目指すことを決めた人たちは、“練習生”として日頃から指導を受ける形になります。

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「記録会」は200mハロンや1kmのタイムを計測します。練習生にとってはトレーニングの成果を出す場でもあります。

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1kmタイムトライアルの後には、全力を出し尽くし倒れ込む練習生の姿も。

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養成所合格を目指す“練習生”を指導する現役選手

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愛好会での指導は、地元の現役選手である加藤圭一選手(神奈川・85期)が中心となって行なっています。「平塚競輪場で競輪選手を目指すアマチュアが少なくなってきた」という施行者の声を聞き、2年前に愛好会が立ち上げられた頃から指導を続けてきました。

私は体験会に参加した人たちの中から、養成所合格を目指すと決めた人たちを“練習生”として預かる立場です。基本的な自転車の乗り方やタイムの出し方、そして平塚競輪場で過ごす一員としての挨拶やルールを伝えています。練習生の中で選手が『あの子見てあげるよ』となれば、師匠としてその人に預ける。私は師弟関係の一歩手前の役割ですね。

指導も時代に合わせていく

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スクールのように毎日決められた練習がある訳ではなく、練習への参加も自主性に任せられています。

全体で練習メニューがある訳ではなく、1人ひとりのレベルに合わせて強度を合わせた練習をしています。技能試験を目指す人はタイムの出し方をひたすら反復練習、適性試験を目指す人はワットバイクに乗りながらアドバイスしていく形です。何回かで来なくなってしまう人もいるし、私がいない時も自らローラーに乗って練習する人もいます。当然ですが、自主的に動ける人の方が他のプロ選手からも声をかけられて伸びていく傾向にはありますね。

師匠を見つけることなく、練習生のまま養成所を目指す人も増えているそうです。

昔は師匠と一緒じゃないと練習すらできない時代もありましたが、今の時代に合っていないと個人的には思っています。プロの競輪選手でも師匠ではなく、若手同士で練習機会を設けるようにもなりましたし。お昼はサラリーマンを続けながら、定期的に愛好会に顔を出してタイム計測やアドバイスをもらいに来る人もいます。師匠をつけず練習生のまま、適性試験で合格する人もいます。もちろん、それぞれに良し悪しはあるので、アマチュアの子たちの時代の考え方に合わせながら、試行錯誤していければと考えています。

変わらない大切なものと、“平塚”が持つ魅力

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一方で、選手としての生活態度については厳しく指導しています。

平塚はアマチュアの選手に対して、昔から厳しく接していると思います。最初の頃は挨拶ひとつ取っても、足を止めてはっきり『おはようございます』が言えない子もいます。その辺りは何度でも注意しますね。養成所に入れば必ずやらなければいけないことですし、当然プロの競輪選手も同じ空間で練習しているので。タイムが出る、出ないは別として『礼儀に欠ける・ルールを守れない』のは、平塚競輪場の仲間として受け入れられません。

最後に、改めて平塚競輪場で競輪選手を目指す魅力について伺いました。

私は平塚競輪場が日本一の競輪場だと思っています。KEIRINグランプリやダービーといったG1が開催されるこの場所で、決勝レースを地元の選手として走りたい。それがモチベーションになってくれたら良いと思いますし、実際にその舞台を目指せるような若手選手を輩出するために、愛好会も開催していますから。全体の底上げを図って、平塚競輪場全体で盛り上がっていければと願っています。

愛好会に参加された人の声

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体験会に参加された親子

保護者の方:会社の上司に誘われ、競輪を親子で観に行った時に息子がそのスピードを見て「かっこいい!」と。そこで体験できる機会があると知って、今日は初めて伺いました。全く競輪の知識はなかったので、もし選手を目指すとしたらこんな物が必要で、こんな試験があるなど、いろいろな情報を聞くことができたのは親としても助かりました。きっと息子も実際に体験して感じたこともあると思うので、貴重な機会になりました。

息子さん:最初は怖かったけど、だんだん慣れてきました。坂(バンク)は1番難しかったけど、3周目には平気になりました。競輪選手になってみたい、と思いました。

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同好会に参加して練習生になった猿渡さん

高校生の時からロードを始めたのですが、自分の適性として競輪の方が向いていると仲間から言われ転向し、2026年3月から同好会に参加しました。今は練習生として加藤さんから指導を受けています。競輪用の自転車を組む相談から始まり、ロードと競輪の踏み方の違いやトレーニング方法など、自分のレベルに合わせて教えていただきました。まだ師匠はいなくて、養成所合格を目指すためにアルバイトを続けながら金銭面も含めさまざまな準備を整えている段階です。

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同好会に通い始めてからは身体面、技術面での成長はもちろん、周囲にプロの競輪選手を目指す仲間がいることがモチベーションになっています。体験会にも「ゼロから始める」という方もいて“自分だけじゃない”と孤独感が払拭されました。

だからこそ、同好会に参加するか迷っている人には、一歩踏み出す勇気を持ってほしいと思います。迷っていても何も進みません。参加した後に、選手を目指すかどうかは自由ですから。1度バンクを走ってみることで自分の現状を理解できますし、さまざまな話を聞いて広い視野から自分の環境を見直すこともできますよ。

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同好会に参加して練習生になった工藤さん

ずっと野球をやっていたのですが、進路を考えた時、野球では上のレベルにはいけないと感じていました。もともと自転車に乗るのが好きだったので、そこから競輪の道を考え始めました。通っていた学法石川の自転車競技部(学校法人石川高等学校。窪木一茂、新田祐大を輩出した福島県の強豪校)の友人に競輪選手のなり方を教えてもらい、高校卒業後に地元に近い、平塚の愛好会に参加しました。

最初に参加したのは2025年の夏頃で、初めてバンクを走った時はその角度に「乗れるかな……?」と不安も感じました。今は加藤さんの下で練習生としてトレーニングに取り組んでいます。午前中はバンクで練習し、午後はローラーやパワーマックスに乗ります。バンクが使えない時はロードに出て、もがく日もあります。

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加藤さんはその時々で一人ひとりに寄り添って、適切なアドバイスをくださって、全部自分の身になっています。ただ、自分自身が今伸び悩んでいて、練習量を増やして、体力・筋力・技術、全体的にレベルアップを目指しています。

自分自身は1度野球を挫折して競輪選手を目指し始めました。今は人間性も含めて応援される「愛される選手」を目指して頑張っています。人それぞれ、いろんな気持ちを抱えて競輪の世界を目指していると思います。その気持ちを全部ぶつけて、努力し続けることが大切だと感じています。

▼平塚競輪場 愛好会の詳細はこちらをチェック

選手などからの紹介がなくでも、競輪選手を目指すきっかけとしてお気軽に以下公式サイトから参加申し込みができます。

https://www.shonanbank.com/recruiting/

現役選手からプロの競輪選手になるための練習方法や考え方を学ぶことができます。実際にバンクなどを走ってみて、競輪選手を目指すと決めた方は、練習生として平塚競輪所属選手とともに練習を行なっていきます。どのような形で選手を目指していくのか(技能・適性の選択、仕事をしながら目指す方法など)を指導員と相談しながら決めていきます。トレーニング後には、学科試験の対策なども行なっています。

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